スイス検察庁は、銀行の顧客情報をメディアにリークした人物を特定しようとしている
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昨年、大手金融機関クレディ・スイスの顧客情報がメディアに流出した事件で、スイス連邦検察庁(BA/MPC)が情報提供者の捜査を開始したことが分かった。
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連邦司法警察省(EJPD/DFJP)が検察庁に捜査開始を許可した。フランス語圏の日刊紙24 heures外部リンクが報じた。
昨年2月、汚職官僚や犯罪者がクレディ・スイスに80億ドル(約9200億円)を超える不正資金を預けていたことが調査報道「スイス・シークレット」で発覚した。金融関係の国際法律事務所からのデータ漏洩が相次いで報じられた末の出来事だった。
検察庁は不正競争防止法・銀行秘密法違反の両面で、スイス・シークレットの情報源の捜査を進める。告発者や具体的な捜査対象者については明らかにしていないが、金融系の調査報道メディア「ゴッサム・シティ外部リンク」によるとクレディ・スイスが刑事告訴した。
スイスのある新聞は昨年、漏洩データの提供を持ちかけられたが、これを拒否したと明かした。犯罪者、汚職官僚と銀行のつながりを示唆するデータだったが、これを報じて刑事訴追されることを恐れたという。
国内の銀行から大量のデータが盗まれたことを受け、スイスは2015年に銀行秘密法を強化。データを漏らして利益を得た人だけでなく、そのような情報を受け取ったジャーナリストも処罰の対象となった。
一方、スイス政府は2日、報道の自由への制限を緩和する下院委員会の議員動議を支持した。下院では可決済みで、今後上院で審議する。
英語からの翻訳:ムートゥ朋子
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